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2010/11/16
田中正郎の生物学講座 アリガタバチ
1971年(昭和46年)頃、京阪神地方の公営集合住宅で1.5mm程の小さいアリにさされる被害が続出した。  初めは大阪や神戸のPCO業者がアリと思って駆除していたが、昭和48年頃になるとその被害があまりにひどく、住民達が辛抱しきれなくなり、各地の保健所や衛生局、住宅局に電話がかかり大騒動になった。  昭和48年に、神戸市の住宅局より兵庫県ペストコントロール協会にその虫の調査の依頼があった。  神戸大学農学部の奥谷先生の所へ、その虫の同定をお願いした。先生はその虫を顕微鏡で見ていたが、この虫はアリのようだが私はハチではないかと思う。ハチの専門家に相談しましょうと早速手配して下さった。10日程して連絡があり、この虫はやっぱりハチでした。アリガタハチ科のクロアリガタバチである。昭和の初め、畳について大騒動になった事があったとその時の調査の書類のコピーをいただいた。  このクロアリガタバチは畳の中にいるクシピグシバンムシの幼虫を針で刺して麻痺させ、その体に卵を産みつける。卵がふ化するとアリガタバチの幼虫は麻痺したまま生きているシバンムシの幼虫の体液を吸って成長する。  神戸市の市営住宅でアリガタバチの調査をしていると子供達が寄って来てアーリガタヤアリガタヤとありがた節を歌いながらアリガタバチを見つけてくれる。お母さん方は、この虫はちっとも有り難くないのに何でアリガタバチというんですかと聞いてくる。  アリの形をしたハチという意味ですよというと、音、神戸ではやったありがた節と関係があるのかと思ったと話していた。  調査している内にクロアリガタバチのほかにシバンムシアリガタバチ、トビイロアリガタバチ等も見つかり、アリガタバチが寄生するシバンムシもクシヒゲシバンムシのほかにタバコシバンムシやジンサンシバンムシ、天井の中にいるマツザイシバンムシ、さらにシンクイムシ、ヒラタキクイムシ等にも寄生しているアリガタバチも発見された。このアリガタバチは雌だけが産卵管で刺して毒液を注入するので女性や子供に被害が集中した。  刺される時間帯は昼夜を問わず、発生時期は2月~11月と長く6~9月頃が一番被害がひどかった。  神戸市の住宅局では、アリガタバチは新築の市営住宅の畳について来たものとして、畳を調査してアリガタバチまたはシバンムシの発見された家は公費で駆除を行っていた。
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