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2010/11/16
チュ-害シリーズ 鼠と疾病(1)神戸とペスト

鼠のもたらす病気のうち過去より現在に至るまで最大のものはペストである。

 そのペストの日本における最初の上陸地は神戸であった。明治27年中国の広東でペストが流行し、香港、台湾にも広がった。神戸では和田岬に検疫所を開設し、神戸に入港する船舶に対して厳重な監視が行われ、数度にわたりペスト患者を発見し、神戸へのペストの上陸を未然に防いでいた。しかし、明治32年に大阪商船所属の鹿児島丸の船内作業の労働者によりペスト患者第1号が発生した。その後輸入の外米や綿花にべスト有菌蚤が付着して上陸していたらしく、またたくまに兵庫県下淡路、姫路、尼崎、大阪府にも広がり、その後第2次、第3次の流行もあり、東京、横浜、下関と全国に広がった。明治32年より明治43年に至る12年間に流行地においては官民一体となってその対策に狂奔した。なかでも神戸市のペストに対する対応は徹底していて、後にアメリカのサンフランシスコのペスト流行の際にも神戸の鼠駆除や防鼠対等が手本になったと聞いている。

 神戸市においては鼠駆除並びに蚤駆除に重点をおき、ペスト発生の家屋等は亜鉛鉄板でとりかこみ、家の取り壊しや消毒を行い、その後モルモットを放して有菌蚤の採集を行った。また、ドブ鼠の巣になる下水溝や岸壁の割れ目の補修や倉庫家屋等の鉄板による防鼠工事も全部市費で行った。鼠駆除については納めは鼠捕獲人を雇い入れ、作業を行ったが、効果が上がらず、後には専ら、市民からの鼠の買入れを行った。当初1匹2銭だったが、明治41年には前年の第2次大流行もあり、1匹7銭から10銭になり、尚鼠1匹につき宝くじをつけたりもした。そのため明治41年、1年間の神戸での鼠の買上げは77万匹にも及んだ。神戸、相生橋、兵庫の各警察で行われ、その数は12年間で捕獲数4,632,363匹、検菌鼠3,577,815、ペスト有菌鼠8,282匹との記録が残っている。ペスト患者発生地やペスト有菌鼠捕獲地は、交通を遮断して、ペストの蔓延防止のため消毒を行った。明治32年より43年の12年間に交通遮断個所は21,095個所に及んだ。

 当時の衛生行政は内務省所轄の警察が行っていたので、交通遮断は徹底して行われ、商業、運送業、輸出入業は経済的にも大きな打撃をうけた。そのためペストを終結するため、船会社、商社、運送業者等こぞって多額の寄付を行った。その資金は殆ど、鼠の買上げに廻され、12年間に神戸市だけで460万匹にも上った。

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